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エドワード・ホッパーの『ナイトホークス』
エドワード・ホッパーは20世紀のアメリカを代表する風景画家で、一見、ティピカルな古き良きアメリカの風景を描いているようで、その実、巨大化する産業社会の中で人々が孤独感やフラストレーションを溜め込んでいく姿を、独特の暗いトーンで表現することに長けた天才。
"ナイトホークス"はそんなホッパーの特性が如実に出た傑作で、「ブレードランナー」('82年)の世界観とまさにリンクするもの。
そこで、リドリー・スコットはどんな言葉で表すよりも手っ取り早いと判断し、"ナイトホークス"を撮影クルーに見せて作品の方向性を示したのだった。
(映画力がつく本:近代映画社刊より)